2019年5月9日 立木佑弥氏

日時:2019年5月9日(木) 11:30〜13:00
場所:首都大学東京 8号館307号室
講師:立木佑弥氏(首都大学東京
題目:数理的アプローチと実証的アプローチの融合による生態学現象の理

 

要旨:一般に科学的な議論は、仮説を検証するために実験や観察によってデータを得て、それを評価することで進められる。自然科学の一分野である生態学も然りである。自然に存在する膨大な情報には一般にノイズや不確定要素が伴うため、仮説を検証するために現象を抽象化し、精緻な実験系・観察系を組み立てる。これは模型化(モデリング)と呼ばれ、自然に存在するノイズを除去し、現象の原因と結果を浮き彫りにするための努力である。一方、現象を数学的に記述する数理モデリングも現象からコアを抜き出す努力の一つであり、論理的に構築された数理モデル用いて議論することで、現象に対する見通しが良くなる。本講演では、ササ類の一斉開花現象、イモリ-カエル被食捕食系、サケ科魚類生活史意思決定を対象に、生態学的現象を読み解くためのアプローチとして、数理モデルを用いた理論と野外観察と実験による実証の融合アプローチを紹介し、その有用性について議論する。