2017年10月27日 谷茉莉氏

日時:2017年10月27日(金) 14:30〜16:00
場所:首都大学東京 8号館309号室
講師:谷茉莉氏 (PMMH-ESPCI)
題目:弾性と濡れの競演 ー 潤滑化と毛管接着

要旨:弾性と濡れが関係する以下の2つのテーマについて、講演する。
(1)潤滑化された弾性体チューブ内での剛体球の運動:弾性体チューブの中で、チューブよりもやや径の大きな剛体球を動かす際の抵抗を調べた。この抵抗力は、チューブが潤滑化されている場合には、潤滑化されていない場合の1/10程度になる一方で、液体の粘性、引っ張り速度、チュー ブの力学特性、幾何形状等に依存する。この問題に対し、我々はスケーリング法則を導出、実験結果を説明することに成功した[1]。
(2)弾性体シェルの球表面への毛管接着:市販のソフトコンタクトレンズの曲率は幾つかの値に限られているが、患者の眼の曲率は人によって異なる。ガウス曲率の異なる表面をしわや歪みなく完全に接触させることはできないため、この状況は時に大きな問題となり得る。我々はマクロスケールで、弾性体球殻の一部(“ソフトコンタクトレンズ”)を、曲率の異なる球表面(“眼球表面”)に毛管接着させるモデル実験を行った。特に、弾性体がしわや剥離をすることなく完全に接着可能な最大サイズを、実験と理論から得た[2]。

[1] M. T., T. Cambau, J. Bico and E. Reyssat (in preparation)
[2] H. Bense, M. T., M. Saint Jean, B. Roman, E. Reyssat and J. Bico (in preparation)