2016年1月26日 公開シンポジウム (終了)

平成27年度 首都大学東京 公開シンポジウム
ソフトマターを基盤とするバイオ系の構築」

日時:2016年1月26日(火) 12:30から受付開始
会場:首都大学東京 南大沢キャンパス 11号館204号室
参加費:無料

プログラム:
13:00-13:10 ご挨拶
13:10-14:10 近藤滋(大阪大学
「動物の模様が解き明かす生物と数学の深い関係」
シマウマの模様と、サバの背中の模様はそっくりです。しかし、この両者に類縁関係は有りません。その一方で、グッピーディスカスなどの観賞魚では、斑点、縞、網目、迷路などの様々な模様の品種が有りますが、それらは同種であり、模様の違いもわずか数個の遺伝子の変異でできる事が解っています。どうして、このようなことが起きるのか?それは、模様ができる原理を解明することによって、一挙に解決します。原理の背後には数学の原理が有り、それを使うと、色々なあっと驚く予言もできてしまいます。考えてみてください。白い斑点模様と黒い斑点模様の個体を、交配した時にできる子供の模様はどんなものでしょう?あっと驚く答えは、当日の講演で。

14:10-14:50 春田伸(首都大学東京
「糸状性細菌Chloroflexus aggregansの滑走運動様式」
固体表面を動く滑走運動は、細菌界に広く見られ、細菌の環境応答機構のひとつである。Chloroflexus aggregansは、3μm程度の桿状細胞が直列に連なった長さ数十〜数百μmの糸状性細菌で、滑走細菌のなかでも速い滑走運動速度を示す。本菌は、直線的に滑走運動し、時折、その方向を転換する。このような運動様式は、多角的な解析の結果、糸状体を構成する個々の細胞表面の独立した運動によって説明されると考えている。

(休憩)

15:20-16:20 佐藤勝彦北海道大学
「上皮細胞の集団運動」
一つの受精卵から複雑な形の多細胞生物が形成されること(形態形成)は生物学の一大問題であ るが、そのメカニズムはいまだ解明されていない。形態形成の本質は初期胚を覆っている上皮細胞(シート)の集団的挙動にあるといわれている。本研究では初期胚や形態形成で頻繁に観測される上皮細胞の集団運動に注目し、上皮細胞が何故隣との細胞と接着を保持したまま(シート状の構造を保持したまま)一方向にグループとなって動けるのかを力学の立場から説明することを試みる。

16:20-17:00 好村滋行(首都大学東京
「細胞のレオロジー
マイクロレオロジーとは、コロイド粒子などの微粒子のブラウン運動を測定することによって、極めて微小量の物質の粘弾性的性質を調べる新しい実験手法である。この方法を用いると、例えば生きた細胞一個のレオロジーを調べることができる。その結果、細胞のレオロジーにはある種の普遍性が存在することがわかりつつある。このような近年と研究動向と、我々が提唱する「生体膜マイクロレオロジー」について説明する。


主催:平成27年度 傾斜的研究費(全学分)学長裁量枠 ミニ研究環