2015年12月11日 小原弘道氏 (終了)

日時: 2015年12月11日(金)11:00〜13:00
場所: 首都大学東京 8号館300号室 
講師: 小原弘道氏(首都大学東京
題目: 細胞移植治療のためのソフトマター研究

要旨: 幹細胞研究の進展のなか細胞移植治療への期待は高い。臨床での治療としてすすめられている膵島移植や、臨床研究の進む細胞自身の修復治癒能力に期待する間葉系幹細胞移植、肝疾患を対象にした肝細胞移植など、精力的な研究がすすめられている。特に、肝臓に関する疾患は生命維持に直結しており、一部の肝臓機能が低下するだけでも発育や発達に大きく影響を与えることから、肝細胞移植は新生児治療の切り札として期待されている。しかしながら、こうした臓器から分離される肝細胞は非常に弱く、また移植においては生着、機能維持、閉塞の予防など様々な課題が存在している。本研究では、この肝細胞移植に対してより安全で効果の高い医療とするために、ソフトマターの一つである細胞流動に着目し、細胞の分離プロセス、移植プロセスの高度化を目指し取り組んでいる研究成果[1][2]をふくめ、工学的な視点からのソフトマター研究の活用事例を幅広く紹介する。


[1] Toshitaka Yasuda, Hiromichi Obara, et. al., Journal of Artificial Organs 18, pp.236-42, 2015
[2] Sandi Sufiandi, Hiromichi Obara, Shin Enosawa, et.al., Cell Medicine 7, pp.59-66, 2015